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プロが教える登記・税金など

コラム
市街化調整区域の農地の登記について
前提
 市街化調整区域内で農地を取得するには、農地法の許可(農地法3条)が必要です。
原則としてある一定の農地を取得している者に対してしか許可されません。許可がなければ所有権移転の効力が発生しませんので名義変更を行うことができません。

ケース
農業従事者でない者が市街化調整区域の農地を買う場合
→「農地法の許可を条件」として、売買契約をして所有権移転仮登記を行うことがあります。
仮登記を行った後、①適法な要件を備えて許可を取得する場合②売買契約後この区域が、市街化区域に変更された場合には、所有権移転登記を行うことができます。

 上記①の場合、買主から売主に対して農地法上の許可申請協力請求権は10年で時効消滅してしまいます。ですから原則的には買主が10年より長い間何もせず放置していると、売主に対して「農地法の許可を取らせてください」と主張できなくなってしまうのです。こうなってしまうといくら仮登記をしているからといっても、売主から「農地法上の許可申請協力請求権は時効により消滅しました」との主張をされ、仮登記の抹消を求められると買主は負けてしまうのです。例外として、①買主が代金全額を支払ったこと②土地を継続占有していることなどを条件に売主から「時効」の主張ができない場合もあります。
参考 
「農地を農地以外のものにするために買い受けた者は,農地法5条所定の許可を得るための手続が執られなかったとしても、特段の事情のない限り、代金を支払い農地の引渡しを受けた時に、所有の意思をもって農地の占有を始めたものと解するのが相当である。」最高裁判所 H13.10.26

このこととあわせて考える必要があるのは、農地を「時効取得」を原因として所有権移転登記をする場合には農地法の許可が不要であることです。つまり、「時効取得」を原因として登記申請をされれば基本的には登記はできてしまうのです。但し、これでは農地の取得には農地法の許可が必要とした趣旨が骨抜きになってしまいますので、登記を申請すると農業委員会に通知が行き本当に時効取得の要件を満たしているかチェックがあります。問題があった場合には登記の抹消を命じられ農地の返還など農地法違反行為の是正措置を命じられます。是正措置を講じられた期間内に必要な措置を行わないときには農地法92条により告発される恐れもあります。なお登記申請をした司法書士もあわせて罰せられることになるでしょう。
by opl-9 | 2009-05-28 22:54
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